夕刊デイリー新聞(2010年3月5日号)に新エネルギーシンポジウムの記事が掲載されました。


(以下、夕刊デイリー新聞より本文を転載)

新エネルギーの可能性探る ソーラー、風力、小水力

絵小町東海プロジェクト 延岡でシンポジウム

 地球温暖化が社会問題となる中、新エネルギーやバイオエネルギーの現状や今後の可能性について考える「新エネルギーシンポジウム」がこのほど、延岡市牧町のリバーバル五ヶ瀬川であった。エネルギーシステム工学の権威である東京大学の山地憲治教授による基調講演や事例発表を通じて見識を深めた。

 NPO法人五ヶ瀬川流域ネットワーク(土井裕子理事長)が取り組む「絵小町(えこまち)東海プロジェクト」の一環。約80人の熱心な市民や関係者が参加した。

 基調講演は、山地教授が「新エネルギー政策の新展開」をテーマに話した。山地教授は、インフラ(社会資本)整備や市場を作ることが基本とした上で、「昨夏からの政権交代の中で、できるだけ方向性を見失わずバランスの取れた新エネルギー政策をとることを期待したい」と強調した。

 基調講演後は5人のパネリストが登壇し、土井理事長をコーディネーターにそれぞれの取り組み状況を説明。県総合政策課主事の持永展孝さんは県が取り組む「みやざきソーラーフロンティア構想(太陽光発電)」、延岡市農林課畜産係の田中芳典さんは同市が取り組む「延岡市バイオマス構想」、旭化成ケミカルズエネルギー総部延岡動力部(同市旭町)部長の伊藤英隆さんは「木質チップ発電への取り組み」、ブルーウィング(同市別府町)社長の森山喜昭さんは「蓄電式風力発電システム製造販売」、興電舎(同市浜町)社長の甲斐稔康さんは「小水力発電への取り組み」をテーマにそれぞれ進ちょく状況や課題などを挙げた。

 このうち、森山さんは試行錯誤を重ねながら、蓄電式の小型風力発電機や充電式の省エネ発電機、LED(発光ダイオード)を使った駐車場照明灯など自社製品の開発、製造、販売を手掛けている。現在はLED照明により通常の2倍の早さで野菜が育つシステムを開発、近日販売予定で、森山さんは「今後も自然エネルギーを使った商品開発に力を入れ、延岡の地から世界へ発信するエコ商品メーカーとしてまい進したい」と意欲的に語った。

 専門家の立場から講評した山地教授は「延岡は工都らしく、それぞれ具体的に実践していることを実感した。積極的に取り組めば日本全体にも貢献できる」と指摘。また、新エネルギーが今後発展する上で市民の役割は欠かせないとし、「単に消費者というだけでなく、分別や里山の維持などシステムを維持するための協力者。NPO法人や自治体も市民に行動してもらう要求をして、市民もそれを受け入れるような環境づくりが大切」と市民恊働の取り組みの重要性を強調した。

 同プロジェクトでは魅力的な景観をつくるとともに菜種油を活用したバイオエネルギー基地にしようと、昨年11月に東海東地域の休耕田計11ヘクタールに菜の花を植えており、3月初めに開花するという。

2010_0305_シンポジウム