(以下、宮崎日日新聞より本文を転載)
エネルギー新時代
産業化への挑戦 7
量産化やコスト削減など、国内外の製造メーカーがしのぎを削る太陽電池市場。参入を目指す中小企業もあるが、製造工程に直接関わるには高度な技術力と設備投資などが高いハードルになっているのも事実。そんな太陽電池市場で中小企業のアイデアを生かすことができると注目を集める分野が、太陽光パネルを組み合わせた製品開発を狙うニッチ(隙間)産業だ。
延岡市岡富町の山林。その一角に山を取り囲むように取り付けられた電気柵がある。ブルーウィング(同市、森山喜昭社長)が開発した電気柵「イグフェンサー」で、動力源は太陽光発電だ。森山社長は「シカやイノシシなどの食害を防ぐため、農家を営む知人から太陽光発電を使った電気柵を造れないかと依頼を受けたのが開発のきっかけ」と説明する。
装置は、太陽光発電でつくった電気を制御装置内のバッテリーにためる。鳥獣が活発化する夜間に作動するようセンサーを取り付け、独自に造った高電圧装置で2万ボルトの電圧を流すことができる。既存の乾電池式より長期間使用可能で、これまでに鹿児島県や北川町の農家が共同で購入し、県内のほかの自治体も関心を示しているという。
2008年に設立された同社は太陽光パネルを取り付けた照明灯や蓄電装置なども手掛けており、森山社長は「東日本大震災の影響もあり、再生可能エネルギー関連の派生産業は今後ますます伸びてくる。考え方一つで応用が利く」と見据える。